常連
今年4月、家から徒歩1分のところにラーメン屋ができた。
店主一人。カウンターの4席のみ。まあ狭い。
時期を同じくして引きこもり生活が始まった。
引きこもりとラーメンの相性はいい。
いつしかそのラーメン屋に2、3日に一回は通うようになっていた。
2021年はおそらく30回以上は来店しただろう。
4月から通い始めて7カ月ほど経ったある日、「毎度ありがとうございます」と
言われるようになった。
うれしかった。
引きこもりの凍えた心を解かしてくれた。
それから3カ月ほどたった今週。
来店してメニューを見ていると、「お客さん、常連さんなんで裏メニューあるんすけど
食べますか」と店主から声をかけられた。
千円札しか持っていなかったので食い逃げの不安に駆られたが、
値段を聞くと通常メニューと変わらなかった。
安心してひとまずそれを頼んだ。
常連として認知された高揚感を胸にラーメンを待つ。
出てきたのは白いスープのラーメン。
ベースは鳥白湯だそうだ。
レンゲですくう。
分かる人には分かると思うが、池袋のラーメン屋「鶏の穴」に近い味だった。
この頃の老いた体には胸やけが苦しい。
が、具の一つである大根は、斬新かつ煮干しの出汁がきいてておいしかった。
気が付くとすでに平らげていた。
店主に味の感想を伝えた。
「おいしかったです」と伝えた時の店主のアンパンマンみたいな顔が面白かった。
人が喜ぶ顔を見るのは気分がいい。
「また来ます」と伝えて店を後にした。
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